普通の照明をスマートスピーカーと連携させてみた

 先日、Google Home MiniAmazon Echo Dotを買いました。ただ買ったはいいものの今一つ活用はできず、単なるおもちゃとなっていました。

 折角「スマート」を冠しているのだから、このまま遊ばせておくのはもったいない。そう煩悶していた中、日常のちょっとした不便さを改めて思い出しました。

 自分はダイニングのテーブルでノートPCをよく操作します。そして自分の定位置からだと、部屋の壁にある照明スイッチに手が届きません。なので部屋が暗くなったら一々席を立ち、壁まで行って照明をつける必要があります。

 これが結構億劫に感じるのです。集中している場合は特にです。

 ならば照明をスマートスピーカーと連携させて、口頭で操作できる様にしたら便利なのではないか。そう考えて実行に移す事にしました。

照明をスマートスピーカーと連携させるには

 主に以下の方法があります。

1. 元々の照明器具の電球をスマート電球(Philips Hue等)に交換する

 最もお手軽なのはこの方法でしょう。

 元々の照明器具の電球を変えるだけで、スマートスピーカーと連携できます。しかもスマート電球と謳うだけあって、明るさや色味を細かく制御できるようです。

 しかし現状、電球型ばかりで丸形や直管型のものは見当たりません。なので照明器具によってはそもそも使えません。

2. 赤外線リモコン式の照明器具とスマートリモコン(Nature Remo等)を連携させる

 元々の照明器具が赤外線リモコンで操作できるものであれば、この方法が簡単でしょう。

 スマートリモコンとはリモコン信号の学習機能を備えていて、更にスマートフォン等で遠隔操作できる赤外線リモコンの事を言います。このスマートリモコンに照明器具のリモコン信号を覚えさせた上でスマートスピーカーと連携させると、照明をスマートスピーカーから操作できるようになります。

 もし元々の照明器具が赤外線リモコン式でない場合でも、天井のシーリングソケットとの間に赤外線リモコンアダプターを挟む事で、赤外線リモコンによる操作が可能になります。

 赤外線リモコンアダプターとスマートリモコンとの併用であれば、照明器具の種類に関係なくスマートスピーカーと連携させられます(ちなみに赤外線リモコン式の電球もあるようです)。

 1・2のどちらの方法も費用はかかりますが(大体1~2万円ぐらい?)、照明とスマートスピーカーの連携は決して難しくはありません。

しかしこれらの方法には欠点が

 それは、壁のスイッチで照明を消灯すると照明に通電されなくなる事です。

 こうなると照明は、スマートスピーカーから点灯できなくなります。スマートスピーカーで再び点灯するには、壁のスイッチをオンにし直す必要があります。

 常に壁のスイッチをオンの状態にしておけばそもそも問題はありません。

 しかし習慣とは恐ろしいものです。つい壁のスイッチで消灯してしまう事が容易に予想されます(自分は大丈夫でも、同居の家族がつい壁のスイッチをオフにしてしまうかもしれません)。

 それをすっかり忘れて暗闇の中で、つきもしない照明のためにスマートスピーカーへ「照明をつけて」と繰り返すのはあまりに空虚です。

 そんな哀しい事態を避けるにはどうすればいいでしょうか。

そうだ、壁のスイッチ自体をどうにかしよう

 そう。照明ではなく、壁のスイッチ自体をスマートスピーカーと連携させてしまえばいいのです。

 具体的には、赤外線リモコン式のスイッチに変えて、スマートリモコンから操作できるようにするのです。

 この方法であれば、スマートスピーカーからも壁のスイッチからも照明を自由にオンオフできます。どちらかの手段を犠牲にする必要はありません。

 ハイテクとレガシーの共存って実に素晴らしいではありませんか。

と言う訳で早速変えてみた

 今回使用したのは以下です。

WTC55215W・WTC55216W

 左からWTC55215W・WTC55216Wです。

 ちなみにスイッチプレートやブランクカバーは別売りです。なおWTC55216Wは、下段のスイッチだけが赤外線リモコンでの操作に対応しています。上段は普通のスイッチです。

交換前と後のスイッチ

 写真の様に元のスイッチを新しいものに交換しました(交換前と後で壁紙が違うのは、交換前のは別の箇所のスイッチの写真で代用しているためです。写真を撮り忘れてました(;^ω^))。

 幸いな事に元がNational (現Panasonic)製で新しいものと寸法の互換性があったので、大掛かりな工事は必要ありませんでした。

※壁スイッチの交換を行うには第二種電気工事士の資格が必要です。無資格で行うのは違法であり(1年以下の懲役または30万円以下の罰金が科される)、また安全面で大きなリスクが伴います。決して自身で交換をせず電気工事業者へ依頼しましょう。

 後はスイッチ操作のリモコン信号をスマートリモコンに学習させてやり、更にスマートリモコンとスマートスピーカーとが連携できるように設定してやります。

 スマートスピーカーで照明を操作している様子です。

 余計な手間と費用は掛かりましたが、照明はそのままにスマートスピーカーと連携できるようになりました。また、壁のスイッチで照明を消灯してもスマートスピーカーから再び点灯する事ができます。

余禄

壁スイッチについて

 今回交換したWTC55215W・WTC55216Wは赤外線リモコンによる電源オンオフのみができる単純なものです。

 上位機種として調光機能を搭載したWTC55715W・WTC55716Wがあります。ただこれらは上記機種に比べると価格が高く、また調光がちゃんと機能するLED照明はかなり限られるようです。

 今回は、壁スイッチで照明を消してもマートスピーカーで再度点灯できるようにするのが目的だったので、WTC55215W・WTC55216Wを選びました。今後調光機能が必要になった場合はその機能を搭載した照明に変え、赤外線リモコン式壁スイッチとの二段構えで利用しようと考えています(その場合更なる費用がかかるのですが)。

スマートリモコンについて

 スマートリモコンや赤外線リモコンから発信された赤外線信号は、死角となるような場所にも意外と届くようです(さすがに受信部を覆ってしまうと駄目ですが)。なのでスマートリモコンの設置場所については、そこまでシビアにならなくてもよさそうです。

 スマートリモコンは照明以外にも、エアコンやテレビ等の赤外線リモコンに対応した機器を操作できます。それらも併せてスマートスピーカーと連携させたいのであれば、スマート電球ではなくスマートリモコンを導入する方が結果的にコストは安くつきそうです。

 今回はスマートリモコンはNature Remoを利用しました。

Nature Remo

 スマートリモコンはNature Remo以外にもeRemote等があります。価格差はあれど基本的な機能はどれも似ているようです(価格はNature Remoが13,000円[税抜]とやや高め。温度・湿度センサー等の搭載の有無がスマートリモコンの価格差に影響しているように見えます)。

 Nature Remoの利点はIFTTTに対応している事でしょうか。なのでスマートスピーカー以外との連携もできます。日没に合わせて照明をつける等の制御もできそうです。

 ただそのように柔軟性がある反面、スマートスピーカーと連携させるには機器と操作の数だけIFTTTアプレットの手動登録が必要になります。これに結構手間がかかります。

 一応Google Homeとの直接連携やAmazon Alexaのスキルが用意されているのですが、「ねえGoogle (Alexa)、『Nature Remoで』〇〇」と余計な一文が必要になります(Google Homeではショートカット機能を使う事で「Nature Remoで」を省く事ができます)。

 また、この場合の操作性は今一つです。

 理由は分かりませんが機器によって操作できたりできなかったりします。手間はかかってもIFTTTアプレットを一々登録しておく方が、後の使い勝手はいいでしょう。

 スマートリモコンという製品は、家電等がスマート化しハブ機器と連携できるようになるまでの過渡期を埋めるものなのでしょう。それを考えれば、利用に手間がかかるのは致し方ない事なのかもしれません。

スマートスピーカーについて

 Nature Remoとの連携の相性は圧倒的にGoogle Homeがいいと思います。Amazon Echo (Alexa)との連携は正直使いにくいように思います。

 IFTTT経由で操作する場合、Google Homeなら「ねえGoogle、○○(照明をつけて)」と言うだけで機能します。しかし、Echoの場合は、「Alexa、○○をトリガー」と余計な一言がいるのです。

 またIFTTTアプレットのThis (トリガー)に関しても、Echoの場合は一つのアプレットに一つのフレーズしか登録できません。対してGoogle Homeならば、一つのアプレットに最大で三つのフレーズを登録できます。

 これにより例えば、「照明をつけて」「明かりをつけて」「電気をつけて」といった、ある程度の揺らぎを持たせられます。またテレビの電源等のトグル式操作の場合、電源オンオフで個別にアプレットを登録する必要がありません。

 殊にNature Remoとの連携に関しては、EchoよりもGoogle Homeの方が操作性は遥かに上回っているように思います。

 2018/5/11追記:

 その後のアップデートによりNature Remoは、GoogleのDirectActionsやAmazonのSmart Home Skillに対応しました。これによりIFTTTを経由しなくてもよくなり、スマートスピーカーを通しての照明操作が容易になりました。

 特にAmazon Echoでの利便性が大分向上した様に思います。

他、どうでもいい事

 Raspberry Pi+赤外線リモコンボードなら更に柔軟性を持たせられそうなので、そのうちやってみたいなとも思います。腰が超絶重いのと根気が全くないので、実際に行動に移すかは分かりませんが…(´ω`)

Nature Remo

Nature Remo